長瀬有花「ノートには鍵」MVを公開。監督を加藤マニが担当。

長瀬自身が作詞作曲を手がけた楽曲「ノートには鍵」のMVを公開いたしました。
今回の映像作品は、数多くの個性派アーティストを手がけてきた映像監督・加藤マニが担当。
加藤マニ コメント
実しやかに囁かれてきた「ポップミュージックは、最初の30秒が重要なんだ。」という言葉で示される、リスナーに興味を持ってもらうための制限時間は、いつしか「最初の15秒」となり、さらには「最初の10秒」となり、ついには「最初の6秒」が重要になり始めているらしい今日この頃ですが、兎角わたしたちには与えられた時間に対して、楽しそうなことが多すぎるようで、そうした創作に従事する人々は(わたしも含めて)いかに皆さんの手を引いて、目を見開かせ、耳をつまみ、なんとか興味を持ってもらいたい!ということに躍起になってしまう世の中になってしまったようです。(とはいえ、そうした「あなたに興味を持ってもらいたいんだ!」という気持ち自体に、まだ愛は多分に残っていると思ってもいます)
そうした現在において、本楽曲は(あえて語弊を生む言い方をするならば)あまりにも悠長で穏やかな展開を皆さんに提示します。昨今こんなにもボーカルの譜面に大きな休符が入ること自体、珍しいのではないでしょうか。しかしながら悪戯に壮大なワールドミュージック然としたものでもなく、あの頃のベッドルーム、およびヘッドフォンの中に可愛らしく収まるようなシューゲイズ・ミュージックでもあります。それは、ゆるやかにドリップされた香り高いアイスコーヒーのような(ホットコーヒーほど、飲むタイミングが難しいわけでもないのです)、ちょっとした贅沢。というムードを湛えながらも、決してブルジョワなわけでもない。ちょうど良い豊かさというやつなのでしょうか。
旅先の素敵なホテルの部屋に荷物を置いて、すぐ街に飛び出していってしまうわたしには、まだ行いきれないことではあるのですが、ゲストルームでくつろぎながら、読みたかった本を時間を気にせずゆっくり読むような、ガチャガチャ、バタバタしていない幸福のようなものかもしれません。丁寧な暮らしを毎日行うには忙しすぎるわたしたちではありますが、たまの贅沢に対して、コストや時間のパフォーマンスを意識せずに楽しむという気持ちは、やっぱり持っていたいなあと思ってもいます。ポップミュージックを聴くことにおいても、なんというかそうした、溶けゆくロックアイスによって変わっていく飲み物の味を楽しむような緩やかさがあってもいいんですよなあ。と改めて思った次第でした。
そういうわけで本作の映像も、2000年代前後のMTV的な、離脱率を意識しない、それでいて決して退屈なわけではないけれど、定期的な刺激を与え続けるわけでもない、チャンネルを変えられることを恐れない雰囲気のものにしてみました。同世代以上の皆さんにはどこか懐かしく、若きみなさんには少し新鮮なものにできたように思っています。お好みの飲み物を片手に、一旦他のことは全て忘れながら、4分半の鑑賞に耐えうるものになっていたとしたらとても嬉しく思います。
Credit
Music and Lyrics by Yuka Nagase
Vox: Yuka Nagase
Guitar: Kohei Hiromura (from pepetterz)
Bass: Yusuke Morita
Piano, Keyboard: Yusuke Sato
Drums: Seiya Kudo
Arranged and Programmed by Kazuya Yaguchi
Recorded and Mixed by Ryoma Nakamura
Mastered by Mike Hillier
Sound Produced and Directed by Kazuya Yaguchi
Music Video
Starring: Nanako Ando
With: Four Greenmen (Kanon Yoshimoto, Shun Fujii, Manato Murase, Hermits Qzaki & The Dreamers), Yuka Nagase
Music Video Director: Mani Kato
Director of Photography: Yuya Noda
Sceneshifter: Momo Oomizu
Best Boy: Yutaro Wada
Production Assistant: Hermits Qzaki & The Dreamers
Production: Kigensho Records / manifilms inc