長瀬有花、新曲「遠くはなれる思考の聞きとり」MV公開

長瀬有花の最新曲「遠くはなれる思考の聞きとり」のMVを公開しました。
本楽曲は、3ピースバンド・ペペッターズの広村康平が作詞作曲を担当。バンドサウンドの中にも電子的な質感と有機的な旋律が交錯し、曖昧な記憶や微かな感情をそっとすくい上げるようなボーカルが印象的な一曲となっています。
映像を手がけたのは、映像作家100人2025にも選出された寺本遥。繊細な視線と空気感をまとった映像表現で、楽曲に漂う「離れていくこと」の美しさと寂しさや、記憶の揺らぎといった感情の余白を丁寧に映し出しています。
「遠くはなれる思考の聞きとり」は、5月23日にリリースされるコンセプトアルバム「Mofu Mohu」に収録されており、今回のMVはその世界観を先行して可視化する映像作品となりました。
<寺本遥コメント>
メディアの次元をまたいだ存在である長瀬さんを表象するにあたって念頭に置いたのは、次元をまたぐ瞬間を見せることでした。
次元の往来はだんだんと加速し、ついにはフレームごとに次元をまたぐようになります。時間的な配置を空間的な接触と誤認できるくらい目まぐるしく、速すぎて止まっているようにも見える点滅という運動の中に置かれた半透明な身体は、フレームとフレームとの間、あなたの網膜の上で触れ合うことができます。
運動することではじめて見えてくるような混濁は、濁流から削り出したような(あるいは自動記述的な)やさしく/畏ろしく/軽やかなメロディーにもふさわしいものでした。
一塊の光のような模糊を、あなたの目と耳で聴いてください。
<広村康平コメント>
頭の中のごちゃごちゃに、
カバーをふわっと覆い被せて、
その上に気に入りのものをずらっと並べる。
あるいはがさっとばらまく。
沈みこんだり、転げ落ちたり、
他と比べてひときわ輝いて見えたり、
ネジの緩んだ首振りスタンドの角度をなんとか調節しながら、
それら全てにスポットを当てる。
深くなる色をじっと見つめ、
輪郭をなぞり終えると、
大半は予想のつく、
ごく稀にあまり馴染みのない、
モデル不詳の肖像画が唐突に浮かび上がる。
借りたままの古いRICOHでそれを写真に撮って、
リソグラフで印刷し、
ファイルして、
本棚の空いたスペースに大事にしまいこんだら、
頭の中の比較的まだ新しいその息遣いごと、
別のカバーで覆う、、
長瀬有花さんとまた一緒に音楽を作らせていただけることが決まったその日から、
ものづくりに於ける、
何かそういった途方もない類の時間を繰り返し続ける生活がはじまりました。
全貌、均衡、
本来は揺るぎないはずの景色たち。
彼女の声が楽曲の中を駆け巡る前と後とで、
詞は詞に、
波形は波形に、
何もかもが再構築され生まれ変わるということ。
本当は、
どちらの視点からでも、
どんな場所からでも、
そういったことは起こり得るのかもと、
何かそんなふうな考えが心に宿ったような気がしたとき。
そっと、「遠くはなれる思考の聞きとり」は誕生しました。
Mofu Mohuに携わらせていただけたこと、
とてつもなく光栄に、本当に嬉しく思います。